【具体的内容】 日本の医療施設受診に伴う外国人、日本人看護師双方の不安要因について、2010年度からの調査を分析した。その結果、最も心配の大きい3項目は外国人旅行者、看護師とも言葉、支払い、インフォームドコンセントであった。この結果をもとに2012年度は①英語での回答者762名と、その他の言葉での回答者381名を比較検討した。その結果、英語での回答者はその他の言語での回答者と比較して感染症、アイコンタクト、病院内の表示、病院の選択を心配していた。日本の看護師の多くが心配しているライフスタイルの違いの心配は低かった。②この結果を2012年11月、スペインの 国際看護研究学会で発表した。③これまでの調査と学会発表での質問や助言をもとに、英語、フランス語、スペイン語、中国語、日本語の5言語を選択できるアニメ動画DVDを開発した。内容は心配要因の高い順に作成し、特に言葉、支払い、インフォームドコンセントについてはその対策を詳しく解説をした。さらにそのコンテンツを確認するためのパイロットテストを実施し、修正した。④このアニメ動画DVDと外国人の使用頻度の高い既存のガイドブックに記載されている日本のヘルス情報との比較をRCT(無作為ランダム調査)で行う予定である。 【意議と重要性】 2011年度の調査結果分析により、日本への外国人旅行者と看護師の受診、入院時の心配要因を標本集団から明らかにした。その結果を広く海外で発表し、助言を得て、最終的に英語、フランス語、スペイン語、中国語、日本語の5言語から選択が可能なアニメDVDを開発した。そのパイロットテストの結果、外国人からは、この情報提供は親切で、役に立つという高い評価を受けている。本研究の結果は、日本を訪れる外国人の事前準備支援として活用性が高いことが示唆された。さらに看護師の心配要因の軽減に役立てることができる。
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