平成23年度は、前年度の継続調査として、介護老人保健施設(以下、老健)のうち、転倒件数が減少・不変の老健における転倒予防に有効な職員教育及び職種間協働の実態を明確にすることを目的に調査を実施した。調査対象は、九州・沖縄の老健530施設に、平成22年度に転倒予防実態調査を実施した。そのうち、施設での転倒件数が減少または不変で本調査に協力可能な施設は26施設であった。日程調整不可の3施設を除く23施設を対象に、半構造化面接法によるインタビューを実施した。調査期間は平成23年8月~11月。有効な転倒予防策と予防策定着に向けた職員i教育では、的確迅速な情報共有、他職種の専門性および限界の理解をあげていた。また経験者と新人をペアにしたアセスメントや体験型教育、ケアプラン作成では経験年数や職種の偏りをなくす人員配置やフォローアップ体制が組まれていた。また転倒予防策は定期および緊急時・危険予測時に評価を実施していた。さらに、利用者・家族・職員に快適な施設内環境づくり、経験に応じた職員教育、離職防止策などが教育の定着につながり転倒予防にも効果をあげていた。職種間協働では、協働の範囲や誰にでもわかる情報共有方法(写真、ロールプレイなど)、施設管理者を含めた協働や職員育成の推進などが職種間の協働に影響していることが示唆された。しかし、一方で防げない転倒(認知症対策)などはいずれの施設でも大きな課題となっていた。
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