研究課題
本研究では、CCG等の形式文法理論において意味表示の記述に型付きラムダ計算を用いることに着目し、同じく型付きラムダ計算を用いるプログラミング意味論の手法であるモナド(monad)を用いることで、自然言語の文脈・談話情報を統一的な枠組みで記述することを目指す。Bekki(2008)においてはメタラムダ計算の米田関手を用いた意味論を提示し、β簡約規則の健全性を提示した。一方、Bekki and Asai(2009)ではメタラムダ計算のための代入規則を定義したが、これはBekki(2008)の意味論において健全ではなかった。Bekki(2008)ではベースレベルの項を対象とした代入しか、構文的に認められていなかったためである。本年度の研究業績においては、メタラムダ計算の定義を整理し、メタレベルの項に対する代入も扱えるようにするとともに、それらの構文に対する圏論的意味論を与えた。その上で、あらためてαβη簡約規則および代入規則の健全性を示したことで、メタラムダ計算の理論的基礎を確立した。また、様々な言語現象の分析に、メタラムダ計算を介して定義したモナドや継続の概念が有効であることも示しつつある。例として「フォーカス」「逆読み」「」など、のような、一般的には構成的意味計算が不可能であると考えられている現象において、モナドや継続を用いることが有効であり、これは現在の意味論の範疇を越えた言語情報に対して構成的意味計算を行うことを可能にするという意味で、言語処理においても有用な技術につながる。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
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http://www.is.ocha.ac.jp/~bekki/publications.html