研究概要 |
本研究では,光の伝播特性(屈折・減衰)を考慮した水中センシング手法の確立を目的とする.具体的には,異なる複数の媒質を光が通過する際に発生する,(A)光の屈折による画像の幾何学的歪み,(B)光の減衰による画像の光学的歪みの問題を解決して水中計測原理を構築する. (A)については,歪んだ画像を用いて,正確に観測対象の形状や3次元位置を計測する手法を確立する.(B)については,かすんだ画像を用いて,空気中で観測したときと同等の色を有する画像を再構築する手法を確立する.また,画像中の視野妨害物を検出・除去する手法を確立する.これらの手法を確立することにより,水中環境においても空気中と同じように画像センシングを行うことが可能な枠組みを新たに構築する. 平成22年度は,以下の内容について検討を行った. (1)水中におけるステレオ計測原理の確立 ステレオカメラ(2台のカメラ)を用いて水中物体の計測を行うための基礎原理を確率した.光線追跡の技術を応用し,3角測量の原理によって水中計測を行う手法を構築した (2)水中センサ搭載のための水中ロボットの製作 水中センサを搭載して移動させることが可能な水中ロボットのプロトタイプ機を製作した. (3)広視野カメラを用いた水中センシング手法の構築 魚眼レンズなどを装着した広視野カメラを2台用いて,水中ステレオ計測を行う手法を構築した. (4)視野妨害物除去手法の構築 高速カメラで撮影した水中画像から,画像処理の技術を用いて気泡などの視野妨害物を除去する手法を構築した.
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