研究概要 |
本研究では,頭部MR画像から難治てんかんの原性域である皮質形成異常領域を自動検出することで,非侵襲かつ定量的にてんかん原性域特定を行う計算機診断支援システムの提案を目的とする. 本システム構築のため,本年度は以下の研究を実施した. (1)頭部MR画像の撮影.新生児から8歳児までの年齢層での撮影を実施.特に新生児での撮影を重点的に実施することで,超早期での検出および,疾患予測の可能性を検討した.撮影法としてはT1強調およびT2強調を用いた結果,新生児においては撮影時間,画像コントラストの観点よりT2強調撮影法が有効であることを確認した. (2)System of systems(超システム)技術に基づく脳領域抽出法の頑健性向上および精度向上.性能の特徴が異なる複数の手法を組み合わせた手法を提案した.たとえば方法1では高い頑健性を有するが精度が低い,方法2では高い精度を有するが,頑健性が低いとき,一方の方法での抽出結果を用いて,他方の抽出結果を自動的に評価し,解析パラメータを自動調整しながら反復することで,各手法の利点を有する画像処理法を構築した.なお実装評価には並列化により高速計算が可能なクラスタコンピュータを用いた. (3)ファジィ論理を用いたてんかん原性域特定法の改良.撮像されるMR画像はパーシャルボリューム効果の影響を受けるとともに,生体的な変動により,必然的に画像中に曖昧さを有する.そこで,本研究では曖昧さを数学的に取り扱うことが可能なファジィ論理を基に,画像特徴の評価関数を構成することで,評価対象者毎の画像特徴のばらつきを考慮した自動抽出法を提案した.
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今後の研究の推進方策 |
昨係度までに構築した各手法を組み合わせ,全体の計算機診断支援システムとして構築する.さらに,撮影予定の被験者データを基に,システム全体について精度,頑健性の性能評価を行う.また各性能評価を基に,解析パラメータの決定法を検討し,今後各施設で広く一般化させることを検討する.
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