研究課題
前年度に引き続き、リン酸化できない変異型のcAMP受容体について、ライブセル可視化法によってcAMP応答を解析をすすめ、野生型の受容体では出力が濃度に依存しない特性を示すのにたいして、変異型では濃度依存的に出力が増加することをつきとめた。この変異体は、cAMPの上昇が自発的に生じやすいことをこれまで明らかにしていたが、今回の結果により、それが細胞に内在性のAMPのパルス発生の増大によるものでなく、増幅率の増加によって細胞外にcAMPがたまりやすいことによっていること、出力を一定に保つ機構が受容体レベルであることが示された。またこれらに付随し、cAMP応答に関連するシグナル伝達経路について、変異体と薬剤処理により検証を重ね、調節回路の解析をすすめた。一方で、出力や振動を一定に保つ機構についても,細胞外cAMPを分解する酵素がcAMP依存的に転写制御されていることと、これによってcAMPが振動しやすいパラメータ領域が広がることを明らかにし、投稿論文として発表した。同様に、cAMP依存的なcAMPのパルス生成がcAMPの相対的な濃度変化によることを前年度まで明らかにしていたが、この性質がホスホチジルイノシトールの生成量レベルでも成り立っていることを可視化測定から明らかにした。また、こうした入出力関係が、集団的なcAMP振動が細胞密度によらないという頑強性を実現していることを示し、現在投稿論文を準備中である。こうした結果から、頑強性を維持している調整のモジュールが3つあり、これらが相互に保管しあって、システム全体の頑強性を高めている実態が明らかになってきた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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