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2010 年度 実績報告書

聴覚ニューロンの軸索起始部での新規可塑性

研究課題

研究課題/領域番号 22680032
研究機関京都大学

研究代表者

久場 博司  京都大学, 医学研究科, 准教授 (10362469)

キーワード神経科学 / 生理学 / 聴覚 / 活動電位 / チャネル / シナプス / 軸索
研究概要

トリ脳幹の聴覚神経核では,軸索起始部(AIS)の位置や長さが音の周波数領域毎に異なる.このことは,AISの分布がシナプス入力に応じて変化するという新たな可塑性機構の存在を示唆する.特に,AISは活動電位の発生部位であることから,この可塑性機構は神経活動を調節する上で最も効果的なしくみだと考えられる.本研究では,哺乳類の蝸牛神経核に相当するトリの大細胞核(NM)を対象に,AISに生じる可塑性機構の存在を検証し,さらにその特性を明らかにする.
本年度は,ヒヨコの内耳を機械的に取り除くことで聴覚入力遮断を行い,このことのNMにおけるAISのNaチャネル分布に及ぼす効果を検討した.まず,聴覚遮断を行った動物を用いて免疫染色を行い,波長405nmのレーザーを搭載した共焦点レーザー顕微鏡により解析を行った.その結果,NMにおけるAISのNaチャネル分布は,聴覚遮断により3-7日の時間経過で約1.5倍に延長することを明らかにした.このNaチャネル分布は膜の足場蛋白質であるankyrinGの分布と一致することから,聴覚遮断はAISの構造自体を変化させると考えられた.次に,聴覚遮断に伴うAISの機能変化を脳幹の急性切片標本を用いてパッチクランプ法により調べた.まず,電圧固定下にNM細胞からNa電流を記録したところ,軸索のNa電流は聴覚遮断により約1.5倍に増加するのに対して,細胞体のNa電流には変化を認めなかった.さらに,電流固定下に活動電位を記録したところ,聴覚遮断により活動電位の閾値は低下し,振幅は増加した.以上のことから,NM細胞では聴神経活動の消失に伴って,AISの長さが延長し,Na電流が増加することにより,細胞の興奮性が増すことを明らかにした.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Presynaptic acitivity regulates Na+ channel distributioin at the axon initial segment2010

    • 著者名/発表者名
      Kuba, H., Oichi, Y., Ohmori, H.
    • 雑誌名

      Nature

      巻: 465 ページ: 1075-1078

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Plasticity at the axon initial segment2010

    • 著者名/発表者名
      Kuba, H.
    • 雑誌名

      Commun.Integr.Biol.

      巻: 3 ページ: 597-598

    • 査読あり
  • [学会発表] 軸索起始部におけるNaチャネル分布の活動依存的制御2010

    • 著者名/発表者名
      久場博司
    • 学会等名
      第33回日本神経科学大会
    • 発表場所
      神戸コンベンションセンター(招待講演)
    • 年月日
      2010-09-02
  • [学会発表] 軸索起始部における新規神経可塑性2010

    • 著者名/発表者名
      久場博司
    • 学会等名
      第87回日本生理学会大会
    • 発表場所
      盛岡市民文化ホール
    • 年月日
      2010-05-20

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公開日: 2013-06-26  

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