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2011 年度 実績報告書

感覚ニューロンの軸索起始部での新規可塑性

研究課題

研究課題/領域番号 22680032
研究機関名古屋大学

研究代表者

久場 博司  名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10362469)

キーワード神経科学 / 生理学 / 聴覚 / 活動電位 / チャネル / シナプス / 軸索
研究概要

トリ脳幹の聴覚神経核では,軸索起始部(AIS)の位置や長さが音の周波数領域毎に異なる.このことは,AISの分布がシナプス入力に応じて変化するという新たな可塑性機構の存在を示唆する.特に,AISは活動電位の発生部位であることから,この可塑性機構は神経活動を調節する上で最も効果的なしくみだと考えられる.本研究では,哺乳類の蝸牛神経核に相当するトリの大細胞核(nm)を対象に,AISに生じる可塑性機構の存在を検証し,さらにその特性を明らかにする.
昨年度は,内耳除去による聴覚遮断がNM細胞のAISを延長させることを報告した.しかしながら,これらの実験ではAISの変化が聴神経活動の変化でなく,内耳障害自体で生じた可能性も否定できない.従って,本年度は内耳が無傷な状態で入力を変化させ,このことがNM細胞のAIS分布に及ぼす効果を検証した.まず,鼓膜を破ることや,耳小骨を固定または除去することにより様々な伝音性難聴の動物を作製した.これらは,それぞれ20dBと50dBの聴力低下を生じることが知られている.鼓膜を破った場合には,NM細胞のAISには僅かな延長がみられるのみであったた.一方,耳小骨を固定または除去した場合には著明な延長が認められた.このことから,AISの変化には大きな聴覚入力の変化が必要だと考えられる.次に,動物を強い音環境に1週間暴露したところ,AISには軽度の短縮傾向が認められた.以上,内耳が無傷な状態でもNM細胞のAISの分布には変化が生じ,かつその程度は聴覚入力と相関することを明らかにした.これらの結果は,AISの変化には聴神経からのシナプス入力の変化が重要であることを示している.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度までに,内耳除去と音環境変化による軸索起始部の変化の解析を行い,軸索起始部の可塑性の存在とその入力強度依存性を明らかにすることができた.

今後の研究の推進方策

今後は,軸索起始部の可塑性の分子メカニズムを解明するために,薬理学的な解析をin vivoとin vitroの両面から行っていく予定である.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Inhibition of presynaptic Na+/K+-ATPase reduces readily releasable pool size at the avian end-bulb of Held synapse2012

    • 著者名/発表者名
      Taruno A, Ohmori H, Kuba H
    • 雑誌名

      Neurosci Res

      巻: 72 ページ: 117-128

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Short- and long-term plasticity at the axon initial segment2011

    • 著者名/発表者名
      Grubb MS, Shu Y, Kuba H, Rasband MN, Wimmer VC, Bender KJ
    • 雑誌名

      J Neurosci

      巻: 31 ページ: 16049-16055

    • 査読あり
  • [学会発表] 軸索起始部発達過程における神経活動の効果2012

    • 著者名/発表者名
      Kuba H
    • 学会等名
      第89回日本生理学会大会
    • 発表場所
      松本
    • 年月日
      2012-03-29
  • [学会発表] 軸索起始部の神経活動依存的制御2012

    • 著者名/発表者名
      久場博司
    • 学会等名
      第117回日本解剖学会総会
    • 発表場所
      甲府
    • 年月日
      2012-03-28
  • [学会発表] Homeostatic regulation of axon initial segment in an avian auditory neuron2011

    • 著者名/発表者名
      Kuba H
    • 学会等名
      Neuroscience meeting 2011
    • 発表場所
      Washington, DC
    • 年月日
      2011-11-15

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公開日: 2013-06-26  

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