研究課題
本研究は酵素タグと細胞内抗体導入法を組み合わせた細胞ターゲティングシステムの開発を目的とした。ここでは酵素タグとしてアルキルグアニントランスフェラーゼの変異体であるSNAP-tagを利用した。昨年度までに分割したSNAP-tag (splitSNAP-tag) が、融合したタンパク質の分子間相互作用に応じて活性を回復することを示した。本年度は、癌化に関わるシグナル分子であるRasタンパク質を標的とし、split SNAP-tagを利用した細胞ターゲティングシステムの構築を行った。Rasタンパク質と相互作用するRaf1およびSur-8の遺伝子をクローニングし、split SNAp-tag断片と融合した。Ras存在下でRaf1とSur-8が相互作用することにより、split SNAP-tagの活性が回復するか否かを、SNAP-tagの蛍光基質を用いて評価した。その結果、Rasの存在に関係なく活性の回復が認められ、Rasタンパク質の検出にまでは至らなかった。また、上記の試みと並行してsplit SNAP-tagについての更なる特性評価を行った。始めに、SNAP-tagの新たな分割位置の探策を行った。SNAP-tagの立体構造を元に、新たに3ヶ所の位置を選定した。これらの分割断片を相互作用タンパク質に融合し、動物細胞内で発現させたところ、いずれの分割箇所においても活性が回復することが示された。更には、split SNAP-tagシステムが既存のタンパク質間相互作用イメージング法では困難であった、タンパク質相互作用後のタンパク質の挙動を追跡することが可能であることを見出した。これらの成果は、国内の学会において口頭発表され、今後、国際専門誌に投稿する予定である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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