正確な動作の遂行や立位・歩行という運動制御システムの解明には、これまで動作や張力などの運動出力やそれを生み出す神経・筋活動の様相からアプローチされてきた。運動制御システムが常に変動することおよびその変動が自律神経活動の時間的特性に一致することから、本研究はこれまで注目を浴びなかった自律神経活動の重要性に着目した。 まず、自律神経活動の直接記録法を確立するために、指先の動作課題中に、正中神経より筋交感神経を侵襲的手法により導出した。動作の正確性が求められる課題では筋交感神経活動は増大する傾向にあった。しかし、筋交感神経活動の定量評価値(実効値、積分値および発火頻度)を上手く分離することが困難であった。そこで、筋交感神経活動の取得部位(腕)と動作部位のクロストークを防ぐために足関節底屈の動作課題中に筋交感神経活動を導出した。動作調節課題中、筋交感神経の実効値および積分値は増大した。しかし、筋交感神経の発火頻度を分離することはできなかった。 23年度は、侵襲的手法による筋交感神経活動の定量法のさらなる確立と非侵襲的手法による筋交感神経活動の評価と動作調節能力を検討する。
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