研究課題
本研究では、ブロモドメインタンパク質Brd4の代謝性疾患の発症進展機構を解明するために、モデル動物の樹立を行った。まず、アメリカのDr. OzatoからBrd4ヘテロ欠損マウスを導入した。導入後、肝炎ウィルスが感染していることが判明したために、SPF化の作業を行なった(繰越理由)。さらに、系統維持のためのGenotypingのPCRの条件検討を行ない、その方法を確立した。これらによって、安定的にBrd4ヘテロ欠損マウスを維持することに成功した。さらに、Brd4ヘテロ欠損マウスは、Wild typeマウスと比較して体重、腸間膜脂肪重量が顕著に低い結果が得られた。さらに、Brd4ヘテロ欠損マウスは、Wild typeマウスと比較して、出生後離乳期の脂肪細胞において、脂肪酸合成関連遺伝子(FAS, ACC)、アディポネクチン遺伝子の発現が顕著に低いことが明らかとなった。さらに、離乳期の小腸において、フルクトース輸送体GLUT5およびスクラーゼ・イソマルターゼ遺伝子SIの発現が顕著に低いことが明らかとなった。これらの結果は、Brd4は、脂肪組織および小腸において、糖質の代謝関連遺伝子の発現を制御し、体重および脂肪の蓄積の維持に関与していることを示唆している。
2: おおむね順調に進展している
前年度、アメリカのNIHから導入したBrd4ヘテロ欠損マウスに肝炎ウィルスの感染が見つかったためSPF化の作業を行い、その後、順調にBrd4ヘテロ欠損マウスを維持し実験に使用することが可能となった。
今後、Brd4ヘテロ欠損マウスを使用し、出生後発達過程における小腸、肝臓、脂肪組織における遺伝子発現解析を行う予定である。さらに、高脂肪食投与マウス、高フルクトース投与マウスにおいて、耐糖能異常/2型糖尿病発症とBrd4との関連を代謝性疾患関連組織(小腸、肝臓、脂肪組織、骨格筋、心筋、動脈など)において調べる予定である。
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J. Nutr. Sci. Vitaminol.
巻: 58(5) ページ: 319-26
Biochem. Biophys. Res. Commun.
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doi. 10.1016/j.bbrc.2012.02.043