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2012 年度 実績報告書

食後高血糖によるエピジェネティック制御機構と代謝性疾患発症との関連

研究課題

研究課題/領域番号 22680054
研究機関山梨大学

研究代表者

望月 和樹  山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (80423838)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2014-03-31
キーワード糖尿病 / Brd4 / エピゲノム
研究概要

本研究では、ブロモドメインタンパク質Brd4の代謝性疾患の発症進展機構を解明するために、Brd4 siRNAを用いた細胞実験を行なった。Brd4 siRNA発現脂肪細胞およびcontrol siRNA発現脂肪細胞を用いて、マイクロアレイ解析を行った。その結果、脂質の蓄積に関与する多くの遺伝子(約60個 例Acsl1, Dgat2, GLUT5, Gpd1など)および、それら活性を調節する転写因子(PPARγ2、LXRα、SREBP1、Spot14)の発現が、Brd4 siRNA発現脂肪細胞において、control siRNA発現脂肪細胞と比較して低いことが明らかとなった。さらに、これらの遺伝子周辺のBrd4の結合をクロマチン免疫沈降法によって調べてみると、Brd4 siRNA発現脂肪細胞では顕著に低下していた。さらに、これら遺伝子の発現低下は、離乳期のBrd4ヘテロ欠損マウスにおいても観察された。
ヒト小腸様Caco-2細胞にBrd4 siRNAおよびcontrol siRNAが発現する細胞株を樹立し、小腸の遺伝子発現が変動するかを調べる試みを行なった。その結果、小腸様に分化するコンフレント10日後においてデンプン、スクロースの分解に関与する二糖類水解酵素スクラーゼ・イソマルターゼSIの遺伝子発現がBrd4 siRNAによって顕著に低下する結果が明らかとなった。
さらに、ヒト正常細胞でBrd4の役割を調べるために、ヒト脂肪培養細胞の樹立をiPS細胞を用いて行なった。その結果、ヒトiPS細胞に脂肪細胞分化誘導試薬を添加すると、脂肪細胞特異的でBrd4標的遺伝子であるアディポネクチンの発現増加が観察された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

樹立したBrd4siRNAを用い、脂肪細胞および小腸様細胞におけるBrd4の研究を行うことができた。さらに、ヒトにおいてBrd4の作用機序を明らかにするためには、ヒト正常細胞の樹立が必要である。今回の実験でiPS細胞の分化系の構築を進めることができた。

今後の研究の推進方策

耐糖能異常・2型糖尿病の発症を誘導する高脂肪食およびフルクトース食をBrd4ヘテロ欠損マウスおよびWild type マウスに投与し、耐糖能異常・2型糖尿病発症に対するBrd4の役割を検討する。特に、Brd4およびP-TEFbの活性撹乱が、耐糖能異常・2型糖尿病の発症進展を促進するかを、クロマチン免疫沈降法を使用し調べる。
さらに、樹立したヒトiPS脂肪細胞およびマウス脂肪細胞にBrd4阻害剤JQ1を投与し、Brd4の脂肪細胞におけるメカニズムを調べる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Methylation of histone H3 at lysine 4 and expression of the maltase-glucoamylase gene are reduced by dietary resistant starch.2013

    • 著者名/発表者名
      Shimada M, Mochizuki K, Goda T.
    • 雑誌名

      J Nutr Biochem.

      巻: 24(3) ページ: 606-12

    • DOI

      10.1016/j.jnutbio.2012.03.006

    • 査読あり
  • [学会発表] ラットにおける離乳期の食事制限が成熟後の糖・脂質代謝に与える影響2013

    • 著者名/発表者名
      望月和樹、池田美沙、合田敏尚
    • 学会等名
      日本農芸化学会2013年度大会
    • 発表場所
      東北大学(仙台)
    • 年月日
      20130324-20130328
  • [学会発表] 脂肪細胞における脂肪蓄積におよぼすブロモドメインたんぱく質Brd4役割2012

    • 著者名/発表者名
      山田 真実、望月 和樹、合田 敏尚
    • 学会等名
      第85回日本生化学会大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡)
    • 年月日
      20121214-20121214

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公開日: 2014-07-24  

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