研究概要 |
本研究の目的は、固形癌において、新しいチロシンキナーゼ(TK)融合遺伝子を同定する、ことにある。TK融合遺伝子は多くの場合がんの第一義的病因であり、多くの阻害剤が存在または開発中であるので、その発見はがんの診断および治療の革新的進歩に直結する。 探索システムは病理組織学をベースとしたユニークなものであり、現在、肺癌、乳癌、婦人科癌、腎癌で組織アレイの作成が完了しスクリーニングが進行している。今後、大腸癌、肝癌などに展開予定である。 本年度は、11.研究発表にしめしたとおり、新規融合遺伝子として、ともにALK阻害剤の対象となるALK-positive large B-cell lymphomaにおけるSQSTM1-ALK, inflammatory myofibroblastic tumorにおけるPPFIBP1-ALKの報告を行った。後者の論文においては、ALK融合遺伝子産物の免疫組織化学的検出法に関して、従来法による知見は抜本的見直しが必要であるという提言を行った。また、以前開発したALK肺癌診断法の応用的研究に関しても11.研究発表のごとく論文化している。
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