研究課題
前年度までに、独自に開発した網羅的糖鎖変動定量分析技術Isotopic Glycosidase Elution and labeling on Lectin column chromatography (IGEL)法、及び96連IGEL精製ロボットを使用し、144症例の血清を使用した肺癌糖鎖標的腫瘍マーカーのスクリーニング試験を完了した。また、特定の糖鎖付加部位に結合した糖鎖バリエーションを10分間で一斉定量できる質量分析技術Energy Resolved Oxonium Ion Monitoring Technology (Erexim)法を開発し、バイオマーカーの大規模検証試験に導入した。本年度は、肺癌患者血清中にてα1, 6-Fucoseの付加頻度が有意に亢進している糖タンパク質として過去に同定したHaptoglobin、Orosomucoid-1、CD163について、87症例(健常者14例、肺腺癌I期10例、II期15例、III期28例、IV期20例)からなる検証試験セットを用いて糖鎖構造変化を定量化した。その結果、HaptoglobinについてはIII期以上の肺腺癌群で有意なタンパク質上フコシル化の亢進が検出された。Orosomucoid-1については5 箇所の糖鎖付加部位について糖鎖構造の定量データが得られたものの、肺腺癌の早期診断に有効と考えられるフコシル化変動は確認できなかった。CD163-Asn105、Asn140、Asn1027上糖鎖については、II期以上の肺腺癌患者でα1, 6-Fucose付加頻度亢進が観察され、かつ病期依存的な付加頻度上昇が認められた。本研究により、血中タンパク質の糖鎖変動を標的とする腫瘍マーカーの網羅的探索技術、高速定量評価技術が確立できただけでなく、有効な肺腺癌早期診断マーカー候補としてCD163糖タンパク質の同定に成功した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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