本研究では、はんだ粒子の表面酸化皮膜の低減と表面ハロゲン化を同時に遠成するこれまでに無い新しい表面制御手法を確立することにより、次世代基準値(900ppm以下)の1/5以下のハロゲンで作動するハロゲンフリーはんだ調整法を世界に先駆けて確立すること、同時に、反応機構解明を行い、本表面処理技術を省資源型金属ナノ粒子ペースト調整法に応用すること、を目的としている。 平成22年度は以下の2つの項目について研究開発を行った。 (1)本年度表面酸化皮膜の低減と表面ハロゲン化・安定化を同時に達成する新規表面制御手法の確立 (1)-1 ペースト中に含まれる数十種類の有機物の役割を解明 ペースト母剤中の数十種類の有機物が、酸化皮膜溶解過程、ハロゲン種添加過程、及び再酸化過程に対して与える影響を、溶液反応を通じて検討した。再酸化反応の防止が重要である為、媒体中の水分量や反応雰囲気中の湿度を含めた検討を行った。 (1)-2 微粒子極表面での極微量元素の状態分析1酸化膜除去過程とハロゲン化過程の状態分析) 数~百数十ppmの低濃度で表面のみに存在するハロゲン種を、高性能表面分析装置(XPS)を用いて存在状態を特定した。同時に、FIBを用いて粒子断面を削りだし高分解能電子顕微鏡(HR-TEM)及びEELSを用いて、酸化皮膜低減過程とハロゲン添加過程の分析を行った。同時に、サイクリックボルタンメトリーを用いた電気化学的検討を行った。 (2)次世代基準値の1/5以下のハロゲンで作動するハロゲンフリーはんだの実用化 (2)-1 新規ペースト母剤開発 材料に適していないペースト母剤を用いると、はんだ実装時にバンプやはんだボールが生成し、不必要な電子基板のショートを誘引する。そこで、ペースト中有機成分の作用を科学分析を通じてそれぞれ明確化し(上記結果)、表面制御した粒子に対して最適なペースト母剤を開発を試みた。 (2)-2 実装試験 ハロゲンフリーはんだペーストを作成し、実際の微細配線基板への実装・特性評価を行った。
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