研究課題
本研究では、金属ランダム構造に誘起される光局在モード制御方法の確立を目指している。本年度は、数値解析による金属ランダム構造内の局在モードの解析の継続とランダム構造内欠陥におけるレーザー発振の実験的な検証を行った。1.金属ランダム構造内欠陥構造の局在モード特性のシミュレーション解析:金属構造を解析する為、ドルーデ・ローレンツモデルをFDTD法に導入したプログラムを作成した。金円柱(直径40~300nm)がランダムに分布し、その中心に欠陥領域として直径300nmのガラス円柱を配置した2次元解析モデルにおいて、欠陥におけるスペクトルと局在モード分布の計算を行った。その結果、スペクトル中に散乱体サイズに応じたプラズモン共鳴によるブロードなピークが現れる様子を確認し、この周波数における強度分布を計算した所、誘電体構造と同様に.欠陥領域に強く束縛された局在モードが現れる事を確認した。現在、局在モードの制御指針を確立する為に更なる解析を継続中である。2.誘電体ランダム構造中欠陥領域におけるランダムレーザー発振の解析:本課題のアイデアの基となった誘電体ランダム構造中の欠陥領域による局在モード制御技術の数値解析的な提案に対して、その実験的な検証研究に著しい進捗があった。本課題の当初計画には無かったものの、本研究に密接に関連する重要な実験課題であり、尚かつ、予想外の結果がもたらされたため、本検証実験を本課題内において行う事とした。実験では、酸化亜鉛ナノ粒子中に欠陥領域として高分子ナノ微粒子を混入し、欠陥におけるランダムレーザー発振現象の観測を行った。その結果、一般的なランダムレーザー発振の特徴(マルチモード発振、利得最大周波数でのナローイング)とは全く異なる発振特性の観測(単一モード発振、低しきい値化)に成功し、欠陥領域においてレーザー発振が優先的に起きる事を示した。現在は特に散乱体サイズに対するレーザー発振特性の変化について実験を行い、本制御手法の実験的な検証を継続中である。
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