量子暗号通信応用や量子コンピュータのQubitの候補として、通信波長域におけるオンデマンド単一光子発生器への要請は依然として高い。本研究では、通信波長域における単一光子源候補としてコアシェル構造を有する半導体ナノ粒子・シリコン中埋め込みIII-V族量子ドット・結晶欠陥に着目し、光子相関測定による単一光子発生能の評価を行い、ゲート電極による単一光子源上における電荷数制御による任意の光子発生器・検出器の創製を目的としている。 本年度は、固体ソース分子線エピタキシーを用いてSi/InSb量子ドット/Si構造を作製し、シリコン中に埋め込んだInSb量子ドットから近赤外領域におけるブロードな発光、またプログラマブルなポストアニール処理により、InSb量子ドットの構造熱緩和を誘起し、選択的にシリコン中に{113}線状欠陥の導入に成功し、900meVにおける発光の観察と電流注入発光(エレクトロルミネッセンス)を実証し、さらに時間分解PLと電場印加により{113}欠陥由来蛍光においてMHz帯域における高速変調に成功した。これは電流注入による単一光子パルス発生器における単一光子のVisibility向上において非常に有用であると考えられる。また強磁性電極からスピン注入による円偏光した単一光子発生を目的とし、超高真空中内での強磁性電極と絶縁層形成技術の整備を行った。
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