研究概要 |
本提案の内容は、生体内に導入でき、使用できる革新的なユビキタス光源を創生することである。達成には、生体にも導入できる光源、“その場”で光源を発光させる手段を開発することで、バイオイメージングに対する光源の提供が行なえれば良い。具体的な手段として、以下2つの研究を行い、各成果を挙げた。 【1】生体透過性の高い近赤外発光型応力発光(ML)体の開発 これまでに開発したSrAl2O4:Eu,M1,M2(M1,M2:近赤外光発光性金属イオン等)の定量的、または定性的なML評価を行った。MLスペクトルより、添加した全ての発光性金属イオンに由来するピークを確認し、発光の起源を明らかにした。また、参照化合物SrAl2O4:Eu、SrAl2O4:M1,M2と比較して、MLの発生にはEu2+、また近赤外光発生にはEu2+励起状態から近赤外発光性金属イオンへのダウンコンバージョンが寄与することを明かにした。ML強度は、Eu2+励起状態由来の緑色ML成分を完全に無視できる760nm以上について評価し、14 nWであった。この強度は、例えば親指の生体透過像取得に必要な近赤外光の最低値(1.7 nW)を大きく上回り、本目的に十分な発光強度を達成した。更に実際、近赤外MLを利用した指の生体透過像、頬を介した咀嚼力計測にも成功した。これは、応力発光体を生体内の “その場”おける光源・として、体外からのin-vivo力学情報イメージングを行う革新的な可能性を示した特筆すべき成果である。 【2】超音波刺激による発光 近赤外ML材料の、超音波刺激による発光特性について検討を行った。結果、超音波照射に対する近赤外ML、照射超音波強度による近赤外ML強度の制御に成功した。更に超音波誘起近赤外MLによる生体透過像取得にも成功した。これはML粒子をユビキタス光源としたin-vivo情報取得が可能である事を示している。
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