研究概要 |
平成23年度は、初年度(平成22年度)に実施した阪神・淡路大震災時の傷病者搬送状況の電子入力結果を基として、地震直後の状況を一般の方にもわかりやすく伝えるために3次元模型で表現した。模型は25000分の1の市販地図をベース地図とし、被災地内で傷病者を受け入れた病院を赤コマで、被災地外で傷病者が転送された病院を青コマで示した。模型全体の大きさは1.5m×2m程度となり、ベース地図上に位置する病院の内、赤コマと青コマ以外はすべて白コマとすることで、阪神地域の病院分布をあわせて表現した。その結果、被災地域と被災地外地域が一目で判別でき、赤コマ病院を囲うように青コマ病院が分布することが理解できた。この模型は、昨年度から運用しているプロジェクトホームページで写真を掲載し発信している。また、兵庫県内の基幹災害拠点病院を対象とし、研究代表者らが作成した病院防災力診断指標【池内他,災害拠点病院が保有すべき防災力に関する研究,地域安全学会論文集,2008】(池内指標と呼ぶ)と国際評価指標【PAHO&WHO, Hospital Safety Index Guide for Evaluators, 2008】(PAHO指標と呼ぶ)との比較検証を行った。これは、現在の阪神地域における病院防災力保有状況の把握を目的とした調査の一環である。対象病院の診断結果としては、池内指標とPAHO指標ともに高い数値結果となり病院防災力が高いことが示された。一方、結果の表示方法に対しては、池内指標が結果を大項目ごとにレーダーチャートで表示するのに対し、PAHO指標では最終結果判定を3段階(A、B、C)で示している違いが認められた。そこで、両者の長所を融合し、PAHO指標に基づいた診断結果を大項目ごとに視覚化した表記方法を提案した。さらに、今年度は、東日本大震災における病院被害調査も継続して行った。
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