最終年度となる平成24年度には、国際会議【The 11th Asia-Pacific Conference on Emergency and Disaster Medicine(2012.9)】において、前年度までに実施した阪神間の災害拠点病院の病院防災力調査結果および病院防災力診断指標(研究代表者らが作成)と国際評価指標との比較検証結果について発表した。また、本研究開始後に発生した東日本大震災における病院被害調査結果についても研究協力者(災害医療センター、権丈英理子)が発表した。また平成24年度には、それまでに準備した傷病者搬送地図(病院防災力保有状況を含む)および病院カードを用いて阪神地域の災害医療体制を検証するシンポジウムを開催した。当初予定では、「公開型ワークショップ」とする予定であったが、発表内容に東日本大震災における病院被害報告が多く含まれ、東日本大震災の病院被害については未だ検証中であることから、シンポジウム参加者は関係者のみとした。但し、関係者には研究代表者や研究協力者の他、あらたに病院防災に関心を持った建築分野の技術者も含まれ、病院の災害時の機能低下抑制に関して活発な意見交換がなされた。これらの結果をふまえ、阪神地域における災害医療体制を検証し、都市部における地震災害への災害医療対策を提案した論文(査読付)を地域安全学会に執筆し登載決定された。 本研究課題では、①阪神・淡路大震災時の傷病者搬送状況と病院被害状況の電子化、②阪神地域の災害拠点病院を対象とした病院防災力の把握、③机上シミュレーションによる阪神地域の災害医療体制の検証と具体的な災害医療対策の提案、を研究目的および実施内容とした。これらすべてが研究期間内に実施され、成果報告として、学術論文、口頭発表のみならず、専用ホームページによる情報発信も随時行った。
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