研究課題/領域番号 |
22681035
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
松川 和嗣 高知大学, 教育研究部総合科学系, 准教授 (00532160)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 哺乳動物体細胞の保存 / 凍結乾燥 / 核移植 / 牛 |
研究概要 |
本年度は、ウシ線維芽細胞を凍結乾燥し、生存性、増殖能、およびDNA損傷度の評価を行った。さらに、凍結乾燥細胞をウシ除核未受精卵に注入し、核移植胚の発生能を検討した。実験には4ヶ月齢のウシ耳片から樹立した線維芽細胞を供試し、10% FCS添加DMEM培地でコンフルエント後1日目まで培養した。細胞を凍結乾燥溶液 (100 mM Tris-HClおよび50mM EGTA、pH8) に浮遊させ、ガラスアンプル内で予備凍結した後、2段階で乾燥した。その後、真空状態で密封し-30℃で保存した。凍結乾燥前にフローサイトメーターによってDNA含量の測定を行った。凍結乾燥直後に細胞を復水させ、10% FCS添加DMEM培地で培養した。細胞の生存性、増殖能、およびDNA損傷はCalcein-AM/PI染色、チミジンアナログである5-ethynil-2’-deoxyuridine (EdU) の取り込み、およびアルカリコメットアッセイ法によって評価した。それらの結果、凍結乾燥したウシ線維芽細胞は細胞膜の損傷、エストラーゼ活性の不活化、および増殖能の消失が認められるが、核移植後の発生を進行させることから、凍結乾燥後もゲノムDNAの機能は維持されていると考えられた。 さらに、活性持続型ビタミンCの一種であるアスコルビン酸2リン酸 (AA-2P) の体外発生培地への添加が、ウシ体外受精胚の発生に及ぼす影響を検討した。その結果、発生培地へのAA-2Pの添加は、ウシ体外受精胚の発生率を向上させる事が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の成果として、ウシ線維芽細胞を凍結乾燥し、核移植することで胚盤胞期胚をコンスタントに得ることが可能となった。しかし、それら胚盤胞の正常性の検査が遅れているため、胚移植試験にまで至っていない。次年度は胚移植試験を試み、受胎までを検査する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
凍結乾燥後の細胞の保存が4℃で可能になるような凍結乾燥法を開発する。また、凍結乾燥由来の核移植胚の胚移植試験を行い、哺乳動物態細胞の凍結乾燥保存が、遺伝資源の保存法として実用化できるのか証明するために、産子生産の可能性を検討する。
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