研究課題/領域番号 |
22681036
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
丸山 淳子 津田塾大学, 学芸学部, 講師 (00444472)
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キーワード | 先住民 / アフリカ / 土地 / 政治参加 / 観光 / 開発 / 超国家的ネットワーク / 植民地支配 |
研究概要 |
本研究の目的は、国際社会において急速に力を持ち始めている「先住民」という国際言説や概念、その権利回復の運動が、アフリカの少数集団の直面する問題解決にいかに寄与し、あるいは齟齬を生み、また既存のアフリカ国家と国民の関係や地域社会全体の民族間関係にいかなる変化をもたらしつつあるのかを、複数地域の比較から解明することである。 本年度は、ボツワナおよび南アフリカの両国で、狩猟採集民サンが、「先住民」としての土地や資源へのアクセスを求めた運動や政治参加に向けた活動の展開状況や、そこで生まれている成果や矛盾について、現地調査によって明らかにした。またボツワナおよび南アフリカの政策の動向やNGOなどの活動状況についても情報を収集した。さらにイギリスの公文書館に所蔵されている資料をもとに、サンと政府に関係の編成を、植民地時代にさかのぼって検討した。 また研究協力者とともに、タンザニアの「先住民」として知られるようになったハッザの居住地域においても調査を実施し、彼らの土地権の承認や文化の維持に関する取り組みにおいて、観光が果たしている役割についての薪たな知見を得た。 さらにアフリカの他地域の「先住民」について考察している国内外の研究者を招いた研究会を実施し、地域間の比較として土地や文化の問題のみならず、開発、観光などの分野においても「先住民」という概念やネットワークが活用されていることを論じるとともに、今後の成果発表の方法についても議論を交わした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた現地調査や情報収集、その分析などが順調に進んでいる。また他の研究者との議論が深まり、多地域間の比較検討も深められつつある。
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今後の研究の推進方策 |
ボツワナと南アフリカに重点をおいて、現地調査をさらに進めるとともに、両者の異同についても検討を深めることを予定している。また今年度までに築いていてきた国内外の研究者とのネットワークを生かして、研究成果の発表、およびそれに基づいたさらなる議論の展開を視野に入れた計画を進めている。
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