研究課題/領域番号 |
22681036
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
丸山 淳子 津田塾大学, 学芸学部, 講師 (00444472)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 先住民 / 国家 / 少数者 / 土地 / 権利 / グローバリゼーション / ボツワナ / 南アフリカ |
研究概要 |
本研究の目的は、国際社会において急速に力を持ち始めている「先住民」という国際言説や概念、その権利回復の運動が、アフリカの少数集団の直面する問題解決にいかに寄与し、あるいは齟齬を生み、また既存のアフリカ国家と国民の関係や地域社会全体の民族間関係にいかなる変化をもたらしつつあるのかを、複数地域の比較から解明することである。 本年度は、ボツワナおよび南アフリカの両国で、狩猟採集民サンが「先住民」としての土地や資源へのアクセスを求めてかかわっている運動や、政治参加に向けた活動の展開状況、そこで生まれている成果や矛盾などを、継続的な現地調査によって明らかにした。またこれらのとの比較検討のために、サンのなかでも「先住民」とみなされることの少ない人々の社会状況についても調査を実施した。 このほかに、南部アフリカ諸国のの政策の動向やNGOなどの活動状況についても情報を収集するとともに、「先住民」の抱える課題の解決に向けた議論の場を持った。さらにアフリカ各地の「先住民」の動向を調査している国内外の研究者とも協力して、アフリカにおける「先住民」状況を広範囲から考察した。 本年度は、これまでの調査の結果をまとめて、アフリカにおける先住民運動の特徴とボツワナの事例を分析した論文を学術誌に発表した。またドイツで開催された学会で、アフリカにおける先住民運動の展開を比較検討するパネルを企画、発表をした。また国内でも、海外からの研究者を交えたシンポジウムや研究会などで、世界各地の「先住民」をめぐる運動、制度、経済活動、アイデンティティなどに関する議論を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査は順調に進展し、とくにボツワナと南アフリカのあいだで、「先住民」の歴史的背景や現在の運動の展開のあり方について興味深い比較検討が可能となる資料が集まった。また南部アフリカと他地域の比較や「先住民」ネットワークの形成過程については、国内外の研究者による調査とそれらのあいだでの議論が深化し、着実に進行している。調査地の「先住民」が直面する課立ちとそれに対する解決方法の追及については、現地の人々、大学、NGOらとの協力もあって、意見交換の場が形成されつつある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、南部アフリカで現在進行している先住民運動の展開を追うとともに、それによって「先住民」をめぐって地域社会がいかに再編されているのかを、より広い視点から考察する。またアフリカの他地域で研究を続けている協力者らと、南部アフリカとの比較やアフリカ内外の「先住民」ネットワークの形成状況の解明に力を入れる。 また、本研究課題において実施してきたこれまでの研究の成果をまとめて、とくに国外の学会での発表したり、英語論文を執筆するなど、国際的に発信する。同時に、調査地の一つであるボツワナで、「先住民」の直面している課題にの解決にむけて、現地の人々と議論を深める。
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