本研究においては、明治期以降、古美術品として国内外に流出した古日本染織の動向を調査し、さらに、それらのコレクションが美術館あるいは個人のコレクターの元に保管されるようになった事由について調査した。そのことによって、古日本染織が大正期から昭和初期にかけて古美術品として国内外に認識されるとともに、従来知られていた以上に、アメリカやヨーロッパで多種多様な古日本染織が美術品として収集されていたことが浮かび上がった。また、海外における古日本染織の古美術品としての価値観は、日本における価値観と大きく異なることも明らかにした。
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