研究課題/領域番号 |
22682003
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松本 和子 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (80350239)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | Dynamic Model / World Englishes / 語用論的変化 / 方言接触 / 新方言 / コイネ / 言語変化 / 言語消滅 |
研究概要 |
本研究では、旧植民地の諸地域で形成される多言語社会における言語変化のメカニズムを総合的に解明することを主たる目的に、パラオの旧宗主国の言語である日本語および英語の盛衰に係る言語内的・外的要因や変遷過程・度合いを、統計的な手法も織り交ぜながら、ミクロな視点から精査している。4ヵ年計画の3年目の研究として、本年度は両言語のデータを収集し、現在、膨大な会話データの電子化・活字化の処理を進めている。さらに、調査対象となる言語変異の変異形ごとの使用頻度等を調査し、定性および定量分析も進行中である。 まず、パラオ日本語に関しては、タグ「デショ」「ダロ」に焦点を当てた語用論的変異と変化に関する研究の途中成果を2つの国際学会において報告するとともに、国内では「パラオ日本語の語用論的変異と変化」として『南太平洋の言語的世界』(渓水社)に所収されることになった。 パラオ英語に関する分析でも、研究の途中成果を中間報告の形で2つの国際学会において報告するとともに、本学紀要より「Palauan English as a newly emerging postcolonial variety in the Pacific」として公表し、音韻・音声・統語各レベルにおけるパラオ英語の言語学的特徴をまとめた。さらに精度を高め、Dynamic Model (Schneider 2007)の検証を加えたものが『The Lesser-known Varieties of English』(ケンブリッジ大学出版)に所収されることになっている。 最終年度となる来年度は、パラオにてデータ収集・分析をさらに進めるとともに、他の旧植民地域との比較研究を展開し、これまでの調査・研究の集大成を図り、一定の方向性を示すとともに、関係専門家からの助言を得ながら、次なる研究に向けての土台を整備する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
震災の影響により、2011年度に遅れていたデータ収集と研究成果の公表を、2012年度におおむね取り戻すことができ、一定の成果・達成度が得られたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
申請当初、1~3年目に予定していたデータ収集時期を、震災の影響により、1、3~4年目へ変更したため、本研究計画の最終年度となる4年目は、データ収集と分析を同時並行的に行わなければならず、総括にも多少のしわ寄せがもたらされることは避けられないが、申請当初の目的自体はおおむね達成できると思われ、また達成できるよう取り組む予定である。
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