研究課題/領域番号 |
22683001
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
松井 秀征 立教大学, 法学部, 教授 (30282536)
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キーワード | 商法 / 会社法 / 商取引法 |
研究概要 |
本年度は、一定の研究成果を出すことを目的に研究を進めたが、前年度に引き続き、今般の研究課題を実現するための下調査が中心となった。この2年間の下調査で得られた知見は、平成24年度に具体的な研究成果にまとめる方向で現在、準備をしている。 第1に、商法典から会社法や保険法が独立していくという実態について、前年度のドイツに続き、今年度はフランスにおいて情報収集を行った。具体的にはパリの弁護士事務所、官庁、大学丸及び商事裁判所において、フランスの商法・会社法の運用について聞き取りを行い、かの地における商事立法における団体法の位置づけについて貴重な聞き取りを行うことができた。 第2に、商行為法の改正に伴う理論的研究としては、社団法人商事法務研究会において行っている運送法勉強会に参加し、運送法改正の前提となる比較法的研究(英米独仏の運送法制調査)を行ってきた。松井はドイツにおける運送法の体系を調査研究の上、報告を行った。これは商事法務研究会における内部報告書(非公開)としてまとめられるほか、平成24年度中に公表用の論文としてまとめる予定となっている。 第3に、今日の商取引の実務(理論の具体的な取引への反映)については、松井がリーダーとなって商法研究者4名、民法学者1名、経済法学者1名、流通論研究者1名からなる商取引法研究会を組織した。震災の影響で当該研究会の具体的な始動が年度の後半にずれ込んだが、平成23年12月から2か月に1回のペースで実務家をゲストに招いて、今日の具体的な商取引とこれをめぐる法的規律について聞き取り調査をしている。平成23年度内には、商社、百貨店の法務部経験者からの聞き取りを行い、極めて有用な情報を獲得することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成22年及び23年度に予定していた、ドイツ、フランスにおける現地調査は、当初の予定通り達成することができ、有用な情報を得ることができた。また商行為法改正等の理論的研究、あるいは具体的な取引実態の調査も、シンポジウム、勉強会、研究会、あるいは現地インタビュー調査等、多様な媒体を通じて行えている。ただ、これら獲得された情報を論文としてまとめる作業については、運送法に関する報告書のための文章を完成したほかは、まだ具体化しておらず、この点において遅れが出ている。これは、松井において、得られた情報のとりまとめの構想が完成していないことによるが、平成24年度中には一定の成果を出す方向で進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、外国における情報収集、商行為法改正関係の理論的研究、および商取引にかかる実務調査は継続する。これと同時に、研究成果をまとめるための基礎資料はこれまで2年の調査研究によりかなり集まってきたことから、「11現在までの達成度」においても記した通り、平成24年度からは以上の基礎資料を研究成果にまとめるべく、論文を執筆する点に重心を移して本研究を進めていく予定である。
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