本研究課題は、第一に、研究代表者による従来研究成果(若手研究B、課題番号:19730128)に対して、その後発掘を進めてきた新資料による再検証と、研究の空白の穴埋めによって、日韓両国政府及び関係自治体の竹島/独島に対する取り組みの史的解明を図ること、第二に、「竹島/独島」という存在を抱える地域・人びととそれとの関係性、認識に深く密接する、いくつかの史的展開(李承晩ライン宣布による拿捕、近現代欝陵島漁業)の実態解明という新研究の展開を図ること、の大きく二つの実証研究、さらにこれらの研究蓄積に日ソ(ロ)、韓ソ(ロ)間の漁業秩序形成史とその過程における緊張・協力関係の分析を加味して、日本海/東海の共同利用の可能性を展望するという目的を有する。 その最終年度にあたる平成24年度は、第一に、国内及び韓国数か所の補足的な現地調査と資料実見調査を敢行した。そこでは、日本海/東海地域の漁業従事者・関係者、植民地時代からの欝陵島在住者らに対するヒアリングを行うとともに、植民地朝鮮期欝陵島の教育関係文書などの新資料の発掘に成功した。第二に、本研究課題の遂行によって得られた成果を公表するために、国内外研究協力者とともに最終的な成果報告会を実施した(島根県立大学)。第三に、本研究課題の遂行によって得られた成果を広く公表するために、韓国欝陵島、東京で開催された学会・シンポジウムに赴き、研究報告を行った。第四に、とくに本研究課題の遂行によって著しく研究の進展した近現代欝陵島の研究成果については、これをブックレットにまとめた。概ね以上のような研究の成果が挙がった。
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