研究課題
本研究は、日本において長期にわたって最大のエスニック集団であった韓国・朝鮮人の代表的ビジネスの歴史に注目し、国際的視点からその特徴を明らかにし、意味を考えることを目的としている。分析対象は、パチンコ産業発展と在日韓国・朝鮮人企業の関係である。同産業には日本の韓国・朝鮮人が彼らの人口比率をはるかに上回る比重を占めるほど多く参入してきたが、1990年代半ばに30兆円という巨大市場に成長した点で、世界的に注目すべき代表的エスニック・ビジネスである。本研究では従来明らかにされてこなかった発展要因を歴史的に明らかにし、その発展に在日韓国・朝鮮人企業がどのように関わったか、また市場成長や産業発展がエスニック・マイノリティの関わりに与えた影響について検討した。分析の結果、経済主体として積極的に参入し、その際民族コミュニティが重要な役割を果たしたものの、産業の発展自体を説明する要素は、企業の経営上の在り方の変化、市場を安定化させる組織化、技術革新など、民俗コミュニティを超えた一般社会とのつながりにあったことが明らかになった。しかも、1980年代以降の巨大市場への急成長により、その市場性が非エスニック集団からビジネスチャンスとして認識され、それまで在日韓国・朝鮮人の参入が主要であった様子とは異なり、一般社会からの参入が増えるようになった。最大都市の東京にあるパチンコホール経営者の名簿を歴史的に集計した結果、1980年代以降ホール総数に占める外国人企業の比率が低下し、そのプレゼンスは相対的に小さくなったことが明らかになった。この点は、2014年1月に開催された国際若手研究者シンポジウム(新潟大学研究推進機構長学術院主催)で発表したが、本研究の総まとめは2015年に研究書(名古屋大学出版会)として出版される予定である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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北海道大学大学院経済学研究科ディスカッションペーパー
巻: Series B,No.2014-120 ページ: 1-26
巻: Series B,No.2014-121 ページ: 1-18