研究課題/領域番号 |
22683009
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
杉谷 陽子 上智大学, 経済学部, 助教 (40514203)
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キーワード | ブランド / 態度 / 感情 / 認知 / 口コミ / 説得 / マーケティング / 実験 |
研究概要 |
本研究課題の2年目にあたる本年度には、以下の2つの成果を上げた。(1)昨年度の研究成果から明らかにされた新たな課題に対処するための追試実験の実施、および、(2)来年度の会場実験に向けた予備実験の実施と実験素材の作成、である。 昨年度の実験結果からは、消費者のブランドに対する評価は、「機能性」「憧れ」「愛着感」の3つの困子から成り、このうち、悪い口コミなどのネガティブな情報を参照すると、「機能性」や「瞳れ」に対する評価は低下する一方、「愛着感」の評価はほとんど変わらないことが分かった。しかし、この成果が実験で用いた口コミの内容に依存するという代替説明が考えられることから、口コミの内容を変更して2つの追試実験を行った。その結果、「愛着感」に基づくブランド態度は悪い口コミによって影響を受けにくいという知見が再度確認されたが、「機能性」に基づく態度については口コミの内容に依存することが新たに明らかになり、悪い口コミの影響プロセスとブランド態度の頑健性について総合的な考察を行った。 以上の研究成果より、「愛着感」に基づくブランド態度が、最も頑健であることが示唆された。すなわち、新規にブランドを立ち上げる際には、「機能性」や「瞳れ」よりも、「愛着感」を訴求していくことが有効であり、「強い」ブランドを構築できる可能性が高いと言える。来年度(最終年度)には、未知のブランドの広告や商品を実際に消費者の手に取らせてブランド態度を構築させ、「愛着感」が重要であることを検証する会場実験を計画しているが、本年度はそこで用いる広告「機能性」「憧れ」「愛着感」のそれぞれを訴求するもの3種類)を作成するための予備実験も実施し、実験素材を準備するとともに、仮説を支持する結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、2年目にあたる本年度に、1年目の研究成果の問題点に対処しながら、最終年度の大規模な会場実験の準備まで進めることができた。研究仮説もおおむね支持されており、大幅な研究計画の修正なく最終年度の研究を実施することができる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、最終年度である来年度には、新規のブランド構築という課題に取り組む。具体的には、実験参加者を都内の会場に集め、未知のブランドの広告や商品を提示する会場実験を実施する。この成果は、年度内に学会等で成果を発表する。 また、これまでの研究成果をまとめる作業にも力を入れる予定であり、年度内に論文を執筆し査読付学術雑誌に投稿する予定である。
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