研究課題
本研究の目的は、協力関係の形成維持メカニズムを探るため、1、フリーライダーを罰する人が利益を享受可能な状況をネットワーク型行動実験によって検討すること、2、互恵性を成立させるために重要な他者からのポジティブな評判形成の仕組みを検討することの2点である。初年度である22年度は研究体制を整えるためのインフラ整備(実験参加者プールの作成、実験スペースの確保、実験用コンピュータのセットアップ、実験用プログラムの開発)と平行して、実験実施に向けて具体的な作業を開始した。第一の目的である行動実験を実施するためのスペース確保は未だ目処がついていないが、予定通りネットワーク型実験用のコンピュータのセットアップおよびプログラムの開発を開始した。第二の目的に関しては、これまで予備実験で収集してきた人物動画の編集、加工、解析作業を進めるのと同時に、既に使用可能な刺激を用いた判断課題実験をシリーズで実施し、他者の人間性を判断する際に必要な条件の検討を開始した。また、本研究では、実験を実施するにあたって、同一参加者に繰り返し実験参加を依頼する手法を用いることで、個人データの蓄積を行った。これにより、個人特性と他者評価のパターン、および他者の信頼性判断能力との関連が実験を超えて系統的に分析可能となった。予備的な分析において、いくつかの個人特性と他者からの評定との間に相関が認められたため、現在はさらに詳しい分析を行っている最中である。また、22年度は新たな刺激動画の撮影も併せて行った。今後は異なる状況下において撮影された動画刺激を用いて、これまで得られた結果の再現生、状況依存的な影響の可能性についてもさらに検討する予定である。
すべて 2010
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