研究概要 |
1.異学年・異教科における実施の可能性について 今年度は,昨年度からの継続で,研究協力者(現場の教員)らに要請し,"異教科・異課題におけるMIM(多層指導モデル)"の実践研究を行っている。昨年度作成した"異教科・異課題におけるMIM"におけるアセスメントおよび指導法を今年度は児童らに対して実践し,その効果を検証した。具体的には,「繰り上がり・繰り下がり(小学校1学年算数)」「ローマ字(小学校3学年国語)」「九九(小学校2学年算数)」である。これらについての指導案,そして実際に行ったアセスメントの結果を,(個人情報保護に十分留意しながら)web上の会議室を用いながら研究協力者間で協議を重ね,互いの指導法およびアセスメント内容について精度を上げてきているところである。 2.MIMの汎用化の構築 これまである地域(福岡県飯塚市)の1つの学校が研究協力校としてMIMを導入していたが,今年度から市内全小学校(計22校)の1年生でMIMを導入する運びとなった。その一環で,年に3回のMIM指導者研修会,MIM実践報告会(1回)を開催し,講師を務めた。また,この1年間のMIMに関する実践をまとめた実践事例集(「市内全小学校における多層指導モデルMIMの実践-確かな読みの力をめざした福岡県飯塚市での挑戦-」)を飯塚市教育委員会との共同で作成した。その他にも今年度,石川県小松市,東京都足立区が,教育委員会でMIMの活用に関するモデル事業を自治体として立ち上げており,これらの事業への知見の提供,推進にもあたった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は,これまで開発してきた研究成果が広く学校教育現場で活用,汎化されるといった点では大きな成果を上げたと考える。市内全小学校の1年生において,これまで開発してきた多層指導モデルMIMというアセスメント・指導モデルが導入されたことは当初の見通しを上回る成果普及のスピードと大きな成果であった。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの達成度のところで,成果として挙げたが,市内全小学校に多層指導モデルMIMが導入されたことで,その実践状況の成果においても,教員間,または学校間で差がみられてきていることも否めない。そこで,どのような条件下であれ,一定の効果が得られるよう,教員および学校への伝え方,学校内で汎化していく際のポイント等,今年度成果を上げた学校事例より重要事項を整理し,より現場に即した形で研究成果を提示していきたいと考えている。
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