研究概要 |
平成23年度は,平成22年度に実施した予備調査の集計結果を,昨年度に調査依頼をした小・中学校に郵送した。 また,予備調査の質問内容を修正した上で,本調査を実施した。対象地域に継続地域の静岡県だけでなく,大都市近郊という地域性と子どもの学力面で比較的類似した傾向にある関西のA県と関東のB県を加え,関西,中部,関東の大都市近郊地域の公立小・中学校の教員を対象とした質問紙調査に拡大した。このことにより,より一般性の高い,日本の公立小・中学校教師の力量形成のあり方を捉えられる。 調査実施に関しては,上述の3県の公立小・中学校をランダムサンプリングし,合計759校に調査依頼をし,177校の協力を得ることができ,約2300票の調査票を回収することができた。 さらに,インタビュー調査を実施した。個人情報の関係で『静岡大学教育学部同窓会名簿』を入手することができなかったために,当初計画していたコーホートとは異なる年齢別のコーホートを設定し,調査対象者を18名から32名に増やした。具体的には,質問紙調査を実施した関西のA県において,小・中学校,男女別に,23-25歳,26-30歳,31-35歳,36-40歳,41-45歳,46-50歳,51-55歳,56-60歳というカテゴリーで,教員にインタビュー調査を行った。インタビュー内容は,<教職選択の時期と要因><新任期の実態と教職アイデンティティの確立><教師としての転機を生み出す契機><教育実践の質的向上>など,質問紙調査の内容に対応するものとなっている。なお,インタビュー調査結果の一部については,平成23年度において論文に纏めた。 以上の質問紙調査とインタビュー調査から,教師の力量形成のあり方について量的・質的な側面からアプローチすることができるデータが整えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度において,平成22年度に実施した予備調査の調査票を修正し,調査対象地域を拡大した上で本調査を実施することができた。また,それと並行して,インタビュー調査実施計画を変更し,調査対象者を18名から32名に増やし,すべての対象コーホートの教員に調査を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度においては,まず年度初めに質問紙調査のデータ入力と,すべてのインタビュー調査のテープ起こしを行う。 次に,データ分析を行う。具体的には,質問紙調査データの基礎集計を行った上で,インタビュー調査データを踏まえつつ,コーホートによる分析を行っていく。前述の分析結果については,平成24年度に学会発表と論文執筆を通して研究結果として公表するとともに,報告書を作成する予定である。
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