研究課題/領域番号 |
22684001
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山崎 隆雄 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00312794)
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キーワード | 高次Chow群 / Milnor K群 / 染川K群 / モチーフ / モチビック・コホモロジー |
研究概要 |
Bruno Kahn氏との共同研究により、半アーベル多様体を係数に持つMilnor K群(染川K群ともよばれる)を、Voevodskyのモチーフ圏における拡大群として解釈するという結果を得た。Voevodskyのモチーフ圏における拡大群は、代数的サイクルの群(高次Chow群やSuslinホモロジーを含む)との関係が確立されているので、この結果は代数的サイクルを一種のMilnor K群で記述するという応用を与える。それを通じて高次元類体論やRoitmanの定理への応用もできる。また、この結果はある次数の体のモチビック・コホモロジーがMilnor K群と同型であるというSuslin-Voevodskyの結果(Nesterenko-Suslin/Totaroの結果の類似)に別の証明を与える。 また、この結果は次のような新たな研究対象を生み出す:Voevodskyのモチーフ圏は、その理論の最も基礎的な点を「ホモトピー不変性」によっている。しかし、ホモトピー不変性を満たさないようなモチーフ理論の必要性は古くから認識されてきた。ところが、染川K群はホモトピー不変性によらずに定義されているのである。その代わりに基礎においている性質が「Weil 相互律」である。そこで、Voevodskyの理論において、ホモトピー不変性をWeil 相互律に置き換えることにより、ホモトピー不変でないモチーフ理論を構築できる可能性が示唆される。この点についてBruno Kahn氏と共同で研究を続けている。まだまとまった結果は得られていないが、この方面の研究を進めてゆきたい。 昨年度より非特異だが完備とは限らない局所体上の多様体に対しする高次元類体論やBrauer-Manin双対の研究を進めてきた。そのの証明を一部を改良し、結果をまとめた論文"Brauer-Manin pairing, class field theory and motivic homology"を幾度か改稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」の欄に記したように、順調に研究成果を得ている。また、新たな研究対象も見いだしている。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」の欄に記したように、今年度に得た結果はホモトピー不変でないモチーフ理論を構築できる可能性を示唆する。この点について、Bruno Kahn氏と共同で研究を進めてゆく。
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