赤外線で非常に明るい星形成銀河SST J1604+4304の紫外線から赤外線までのエネルギースペクトル分布を、様々な星間減光曲線を用いて解析した。その結果、観測されたスペクトルは、超新星で形成されるダストによる減光モデルにより最もよく再現できることがわかった。それゆえ本結果は、星形成が活発な銀河中では、超新星により支配的に星間ダストが供給されていることの間接的な証拠を与える。 一方、系外銀河NGC300中で新星と超新星の中間ほどの明るさをもって発生した突発天体の近赤外線後期撮像観測を赤外天文衛星「あかり」を用いて行った。その結果、この天体周囲に存在するダストは天体の小規模爆発の際に新たに形成されたもので、ダストは中心天体のごく近傍で非常に密集して分布していること、また中心天体自身の光は減光されていないことから、形成されたダストの分布は球対称から大きくずれていることがわかった。この観測により、突発的に放出されたガス中でのダストの凝縮は効率的であり、星の度重なる爆発過程が星間ダストの供給に大きく寄与する可能性を示唆する。 さらに、白色矮星の暴走的な熱核融合反応で起こるIa型超新星爆発時でのダスト形成計算、およびその後の超新星残骸中でのダストの進化計算を行った。その結果、Ia型超新星で形成され得るダストの質量は太陽質量の10分の1ほどであるが、その半径は0.01μm以下と比較的小さいため、形成されたダストはすぐに衝撃波に掃かれた高温ガス中で破壊されることがわかった。本結果により、Ia型超新星は星間ダストの主要な供給源としては機能しないことを明らかにした。
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