研究課題/領域番号 |
22684016
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
深澤 英人 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90361443)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 強相関電子系 / 低温物性 / 磁性 / 物性実験 / 超伝導 |
研究概要 |
本研究の中心課題である圧力の異方性を考慮に入れた鉄ヒ素系超伝導の圧力効果を詳細に調べるために、昨年度までに改良型の小型キュービックアンビル装置を導入した。小型キュービックアンビル装置は、キュービックアンビル装置の六方向からの定荷重による静水圧性の良さを保ったまま、装置全体を重量・体積ともに約1/4まで縮小させた装置である。そのうえで、最大発生圧力が通常の装置の約1/2である10 GPa程度まで到達可能である。一昨年度の同装置の導入により、備品関連の整備は概ね整ったので、本年度は引き続き消耗部品を利用しつつ、小型キュービックアンビル装置を利用した10 GPa級63Cu-NQRを行なった。小堀教授、竹下博士との見極めで、可能であると判断した改良案は以下である。1.配線における配線材の補強、2.配線経路の改良、以上の改良点について検討し、新規部材を購入し、63Cu-NQRを行なった。特に本年度は改良点の2について重点的に吟味を行なった。吟味に際し、当該装置を共同で利用している首都大学東京の溝口教授のアイデアも参考にし、従来とは配線経路を変更することにより、圧力印加の成功率を従来の10%程度から50%程度まで大幅に引き上げることに成功した。 その後、必要な圧力媒体の特性について吟味を行ない、キュービックアンビル装置による温度調整などの整備も行なった。そのための低温寒剤が必要であり、本年度は、高圧セルのための消耗部品代とともに寒剤代が大幅に必要になった。 また、キャリア制御による鉄系超伝導体Ba1-xKxFe2As2のNMR/NQRによる研究とそれに関連する研究に関して計3件の国際会議における招待講演を行ない、また国内学会で発表を行ない、これらの成果を、まとめた論文を執筆し、掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
圧力実験は特殊な技術が必要とされる実験であるが、できるだけ人材に依存しない実験の成功率向上を目指し、より安定した実験手法を開発している。キャリア制御による超伝導発現機構の解明および関連した研究について、3件の招待講演による成果発表を行なうことができたので、おおむね順調だと考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度新しい配線設計により、感度と圧力印加の再現性が従来の5倍に到達したキュービックアンビル装置に関しても鉄系超伝導体に対してNQR実験を行なう予定である。キャリア制御系Ba1-xKxFe2As2に関しては、本年度までの研究でその全体像は明らかになってきたものの、K濃度の高い領域での研究はまだ発展段階であり、この点について重点的に研究を展開したい。
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