平成25年度は本研究計画の最終年度であった。共通揺らぎによる非線形コヒーレンス生成現象および関連する非線形ダイナミクス分野の諸問題に関連して、以下に述べるような内容について研究を行った。(i) 強く摂動を受ける非線形振動子に対する新しい位相縮約法を提案した。その応用として、強い周期外力に駆動される非線形振動子の同期現象を解析した。(ii) 複雑ネットワーク上のノイズを受けた双安定素子系におけるマクロな転移現象に関して平均場近似と非線形Fokker-Planck方程式を用いた解析を行った。 (iii) 熱対流系の示す非線形振動に対する位相縮約法を提案した。また、その結果を利用して、振動的熱対流の共通揺らぎによる同期現象と、そのために最適な刺激パターンに関する解析を行った。(iv) 3変数の反応拡散系における振動的な不安定性の発生条件に関する解析を行った。またその結果を利用してネットワーク上の生態系モデルの振動不安定性を解析した。(v) 環境信号のフィルタリングによる共通揺らぎ同期現象の改善に関する研究を行った。(vi) その他関連する研究テーマ。以上の各テーマに関して得た結果は、国内外の学会・研究会および国際学術論文誌において発表した。
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