研究課題
本研究は以下の3つの研究課題を柱にして遂行した。[A]非線形波動成長理論に基づくトリガードエミッション励起過程の研究[B]実パラメータ計算によるコーラス放射励起過程の定量的解明[C]超並列計算に対応した放射線帯電子加速シミュレーションコードの開発本年度の研究実績は以下の通りである。計算機実験の初期条件として与える高エネルギー電子ならびに背景プラズマのパラメータに関して、本研究が対象とする地球放射線帯領域での観測結果に基づいて、コーラス放射が観測される典型的なプラズマ環境を選定した。また、コーラス放射は木星など固有の磁場を有する惑星の磁気圏でも観測されており、励起過程に関しては非線形波動成長理論に基づく議論が可能であることから、木星磁気圏での観測結果と比較し、地球磁気圏で観測されるコーラス放射との共通点を議論した。その結果、コーラス放射の励起される領域でのプラズマ周波数とサイクロトロン周波数の比が類似していること、励起領域は磁気赤道付近に存在すること、強度の強いコーラス放射と同時に温度異方性を持つkeV帯の電子が観測されていることなどを明らかとした。また、トリガードエミッションならびにコーラス放射の発生過程に関する計算機実験の結果から、非線形波動粒子相互作用の物理素過程に現れる波動振幅依存性を定量的に示し、線形成長率と比較することで非線形成長の時間・周波数特性を明らかとした。これらの成果は学術論文にまとめると共に、2件の招待講演を含む国内外での学会発表を6件行った。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件)
J.Geophys.Res.
巻: 116