研究課題
本研究は以下の3つの研究課題を柱にして遂行された。[A] 非線形波動成長理論に基づくトリガードエミッション励起過程の研究[B] 実パラメータ計算によるコーラス放射励起過程の定量的解明[C] 超並列計算に対応した放射線帯電子加速シミュレーションコードの開発課題[A]および[B]については、トリガードエミッションならびコーラス放射発生過程を再現する計算機実験を実施し、励起するコヒーレントなホイッスラーモード波動の波動特性を議論した。特にコーラス放射の再現実験では、科学衛星による直接観測ならびに磁場モデルから示される磁気赤道領域のプラズマ環境をシミュレーション空間上に再現し、放射線帯領域で発生するコーラス放射の波動特性を定量的に評価した。その結果得られた主な成果としては(1)磁気赤道における高エネルギー電子の初期速度分布が同一とした場合でも、発生するコーラス放射のスペクトルが背景磁場非一様性の空間スケールに応じて変化すること、(2)コーラス放射発生に必要とされる波動振幅の閾値が非常に小さい条件ではコーラス放射が断続的に励起される状況となり、ヒス状のスペクトルとなること、ならびに(3)放射線帯領域の実パラメータ計算でコーラス放射発生過程の再現に成功したことが挙げられる。また課題[C]に関しては、電子ハイブリッドコードならびに新たに開発した空間2次元コードの演算性能を、京都大学のCray XE6ならびに九州大学のFUJITSU PRIMEHPC FX10を利用して4096並列まで評価した。その結果、weak scalingでは良好なスケーラビリティが得られた一方、strong scalingでは1024並列数以上で性能低下が見られたが、粒子および電磁場配列のマージなどの最適化を実施することで、性能向上を実現した。以上の成果は学術論文として投稿し、国内外での学会発表8件で公表した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (8件)
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