搬送波包絡線位相制御パルスを用いた超高速反応イメージングを行うために、1.数サイクルパルスの高安定化および高強度化、2.反応イメージング装置の高度化を行った。1.については、中空ファイバーパルス圧縮器の入射窓で入射エネルギーが高い場合(3mJ以上)に、自己位相変調が誘起されていた問題を解決するために、集光ミラーを配置した真空チェンバーを設置した。これによって、入射窓による自己位相変調は回避でき、パルス圧縮条件の最適化が可能となった。さらに、高強度化および高安定化を行うために、高反射率かつ広い波長範囲で分散補償が可能な超広帯域チャープミラーを導入し、5フェムト秒以下の超短パルス発生を可能とした。2.については、反応イメージング装置の到達圧力の改善のため、大容量ターボ分子ポンプおよびゲートバルブに配置した空間分割型薄膜フィルターを導入し、単一分子からの反応イメージングを行うに十分な真空度(10^<-8>Pa)を達成した。反応イメージング装置については、従来の運動量投影型の電極配置では、レーザー場強度の低いところ高いところまでを計測し、強度平均された現象を見ることになっていたため、新たに、空間投影型のイメージング装置の考案を行った。このイメージング装置を導入することによって、レーザーの集光径程度の微小空間からの信号を選択的に計測することが可能となるともに、搬送波包絡線位相についてもGouy位相平均を避けることが可能となる。また、光電子を計測した場合には、アト秒パルスを構成する極端紫外の光が集光ミラーに到達する前に分子線および真空チェンバー内の残留ガスに吸収され、光電子が生じる問題があったが、空間投影型イメージング装置の導入によって、集光領域以外からの信号を排除できることが期待される。上記に加え、運動量分解能を向上させるための、運動量投影型イメージング装置の考案および設計を行った。
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