本研究では、光照射により解裂可能な結合部位を有するジブロック共重合体を調製し、ミクロ相分離状態にあるジブロック共重合体に光を照射することで結合点を解裂させ、昇温に伴う界面の揺らぎ(界面張力波)の増大、さらには、ミクロ相分離状態からドメインの合一を経てマクロ相分離に至る過程を明らかにすることを目的とする。今年度は試料の調製について検討を行った。sec-ブチルリチウムおよびオキセタンをそれぞれ開始剤及びエンドキャップ剤として用いたリビングアニオン重合によりOH末端を有する数種類の単分散ポリスチレン(S-OH)を合成した。得られた試料の分子量は4k~10k程度で、^1HNMR測定により評価した末端OH基の導入率はいずれも95%以上であった。次に、OH基をトシル化した後、3-ヒドロキシメチル-4-ニトロフェノールを付加させることで、PS末端に光照射により解裂可能なオルトニトロベンジル(ONB)基を導入した。これにプロパルギルブロミドを反応させることで、末端にONB基とアルキンを持つポリスチレン(S-ONB-Alkyne)を合成した。これとは別に、S-OHをトシル化した後、アジ化ナトリウムを反応させることで、アジド基を末端に持つポリスチレン(S-N_3)を合成した。 S-ONB-AlkyneとS-N_3をクリック反応により結合させ、ポリスチレンの二量体を得た。現在は、ジブロックコポリマーのもう一成分として、アジド末端を有するポリ(2-ビニルピリジン)(P-N_3)およびアジド化末端を有するポリ(メタクリル酸メチル)(MMA-N_3)の合成に取り組んでいる。
|