研究課題
研究代表者らが見出した室温一段階法により合成した負電荷MnO_2ナノシート上で、四級アンモニウム部位を有するtrimethoxysilaneのグラフト重合を行うことにより、イオン性粘弾性ナノコンポジットを得た。このナノコンポジットは、MnO_2層間に有機成分が挿入された層状構造(層間距離:3.03nm)をもち、基板上で伸ばすだけで100nm以下の膜に成形できる。複素弾性率測定ではshear-thinning挙動が観測され、降伏応力は約7×10^3Paと見積もられた。また、湿度によりプロトン伝導度が顕著に変化することを見出した(95%RH、70℃でのプロトン伝導度:1.3×10^4Scm^<-1>)。活性化エネルギーの絶対値や湿度依存性から、Grotthuss機構によるプロトン伝導が示唆された。また、陽イオン種による粘弾性挙動の違いについても知見を得た。同様の手法を用いて、Ti_<1-δ>O_2ナノシートから成るイオン性粘弾性ナノコンポジットを得た。MnO_2ナノシートから合成したナノコンポジットと同様に層状構造(層間距離:3.16nm)をもち、優れた成形性を有する。複素弾性率測定では3次元的ネットワークの形成が示唆された。また、バンド間(バンド端)遷移による発光バンドが397nmに観測され、白色光照射によるプロトン伝導度の顕著な増加が観測された。現在は、別種の金属酸化物ナノシートやプルシアンブルーナノ粒子を用いた液体ならびに粘弾性固体の開発を行っている。
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