これまでに、体積振動する高分子微粒子のデザインと機能制御に関しては報告を行ってきた。これらの研究結果を踏まえ、本研究の目的達成のために、(1)体積振動する光学顕微鏡観察可能な大粒子、および(2)粒子間架橋可能な粒子、の開発に着手した。前者は、温度プログラム型沈殿重合法を適用することで、従来得られていたサイズ(サブミクロンオーダー)よりも大きなサイズの振動型微粒子を得ることができた。一方、後者は、コアシェル構造の付与、または一括重合法による反応活性部位の導入を行い、粒子表面に化学反応によって粒子間架橋可能な部位を局在させることができた。 続いて、体積振動の多角的評価を行った。これまでの体積振動の検討は、分光光度計による透過光強度の経時変化を中心に、振動型粒子の評価を行ってきた。本研究では、蛍光分光光度法による化学反応触媒の変化を同様に追うことで、体積振動の変化を新たな角度より解析した。また、動的光散乱法によって体積振動時の粒子径を経時的に測定し、定量的な粒子径変化のデータを得るために、体積振動の振幅を大きく、かつ測定にとって十分に長い周期を示す条件を見出した。DLSの原理上、周期の早い体積振動を追跡することは困難なためである。 また、フォトニック結晶体の開発に向けたプレ実験も行った。開発した大粒子径振動粒子を用い、サーマルアニーリング法を用いて3次元フォトニック多結晶を得ることができた。その環境において、体積振動を生起することが可能であることも見出している。
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