研究課題/領域番号 |
22686001
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
永沼 博 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (60434023)
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キーワード | 二重トンネル接合 / トンネル磁気抵抗 / 共鳴トンネル効果 / クーロンブロッケード / ゲート変調 |
研究概要 |
平成23年度は、二重トンネル接合の中間層を1nm程度にすると不連続となり、中間層は微粒子化してクーロンブロッケードが期待できることが磁化測定より明らかにした。また、クーロンブロッケードは理論的に高い磁気抵抗比が期待できることが予測されていることから、平成23年度は中間層を不連続にした素子における磁気抵抗比の研究に注力した。さらに、平成24年度の最終年では、二重トンネル接合素子のデバイス化も併せて検討しており、平成23年度は中間層にゲート電圧を印加できるような素子構造の試作を行った。ゲート電界を効率的に中間層へ印加させるためには、ゲートと中間層の間の絶縁体の誘電率を高めること、および絶縁体の厚さを薄くすることが重要である。本研究では、比較的、ラフネスが少なく、誘電率の高いAl203を絶縁材料として、ゲート距離を60nm程度にすることを目標としている。平成23年度は、電子線リソグラフィープロセスの改善、およびレジスト材料の検討を行うと共に、素子の総膜厚を薄くするなど、多くの工夫を行うことで80nm程度までゲートの距離を近づけることに成功した。また、平成23年度は、素子の歩留りを改善するために、下部および上部の固定層の膜厚構成比の最適化を行った。平成23年度は、上記に述べたような三端子の素子化(スピントランジスタ構造)を実現するために種々の準備実験を行い、条件の最適化を殆ど決定することができた。まだ、準備段階ではあるものの、これらの成果を学会等で論文発表として積極的に行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
震災の影響により、電子線描画装置が約半年間使用ができなかったこと、および復旧後も作製条件が以前と異なり、改めて最適描画条件を決定する必要があったことが遅延の原因となった。現在、震災前と同じレベルまで復旧が行われており、問題なく実験を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
既に述べたとおり、二重トンネル接合をデバイス化するために、中間層にゲート変調機能を加えたスピントランジスタの創製が今後の推進方策となる。研究を進めるうえでの問題点は現時点ではない。
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