研究課題
次世代スピン電子素子において、スピン電気信号の高速変調・増幅・反転作用は必須の機能であり、磁性体を流れるスピン流が励起するスピン波を用いた機能の実現が期待されている。本研究は、透過型電子顕微鏡を用いたその場計測法を駆使し、スピン流が誘起するスピン波の特性を微視的に解明し、スピン流スピン波を用いた磁化ダイナミクスの制御方法を確立することを研究目的とする。本年度は、(1) 磁気異方性を制御したパーマロイ細線の作製、(2) パーマロイ細線におけるスピン流スピン波特性の微視的解析、(3)スピン流スピン波を用いた磁化ダイナミクスの制御法の確立 の研究項目を設定し、研究を進展させた。初年度と次年度の研究により、磁気異方性を制御したパーマロイ細線に電流(スピン流)を印加すると、スピン流が誘起するスピン波により磁気縞ダイナミクスが励起されることを見出している。本年度はこの研究成果を発展させ、非局所的電極配置を有する試料構造において熱スピン流を併せて誘起すると磁気縞ダイナミクスが増強される様子を観察することに成功した。これらの研究成果は、スピン流スピン波の運動モードの制御を行う上で、重要な基礎的知見となる。また、スピン流スピン波の特性をより定量的に調べるため、カイラル磁気秩序の研究を並行して進めている。カイラル磁気秩序はスピン波モードの厳密解が与えられる稀有な系である。スピン波のコヒーレントな集団運動が生成され、スピン流スピン波の増強が起きることが期待される。本年度は輸送特性や電子スピン共鳴などを通じスピン流スピン波の集団運動する様子を観察することに成功した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Microscopy
巻: 62 ページ: 11
結晶学会誌
巻: 11 ページ: 11
日本中間子科学会誌 めそん
Journal of Electron Microscopy
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10.1093/jmicro/dfs067