研究概要 |
共役π電子系有機分子・高分子は、無機・半導体材料を凌駕する優れた非線形光学特性や超高速応答性を併せ持つものの、その低屈折率性や加工ダメージ等の問題により、本質的なナノ光学応用への展開が制限されてきた。本研究は、この問題を有機材料と異種材料とをナノスケールで多次元的に組み合わせた独自の有機ナノ・ヘテロ格子(ON-HeL)構造を創製することで解決し、有機分子・高分子の光電子特性を、ナノ領域で最大限に引き出すことを目標とし研究を実施した。さらに有機ナノ空間という新たなアプローチから有機非線形機能や光位相を操作し、極低消費エネルギー・超高速動作の非線形光デバイスや、光・電気ハイブリッド制御による革新的な有機アクティブ光制御素子の創出に取り組んだ。研究最終年度であるH25年度では、新規提案しているスローライトMZ型シリコン/有機EOポリマーハイブリッド1次元フォトニック結晶デバイスを開発し、有機非線形機能や光位相の操作手法を確立、従来のニオブ酸リチウム(LN)変調器の約1/1000の素子サイズにおいて、10倍以上の電気光学変調効率を達成するなど、極めて高性能な非線形光学(電気光学)特性を実証した。 本研究成果の一部について、論文出版(S. Inoue et al., Appl. Phys. Lett. 103, 171101 (2013))され、「有機電気光学ポリマーとシリコンを融合した超小型・高性能の「電気光学変調器」の開発に成功」という内容で、2013年10月22日付でプレスリリース(http://www.nict.go.jp/press/ 2013/10/21-1.html)された。その内容に関する記事が10月23日付の日経産業新聞に掲載された。また関連して、電子情報通信学会のニュース解説記事に掲載されるなど成果に対する高い反響を得た。
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