光化学反応の初期過程などの超高速現象を解明する超高速プローブとして、極短パルス光は重要性を増している。本研究では、100MHz程度の高繰返しで未踏の4フェムト秒以下の極短パルスを発生することを目的とし、3種類の異なる帯域のレーザー光のタイミング及び光波位相を高精度に同期制御し、合成する技術を確立し、波長600nm~1400nmにわたるコヒーレントな超広帯域光を発生させ、全帯域で分散補償を行うことにより、単一レーザー帯域の壁を超える極短パルス光の発生を実現することを目的とした。 これまでに、チタンサファイアレーザー(中心波長800nm)及びクロムフォルステライトレーザー(中心波長1250nm)の2種類のレーザーのタイミングと位相を0.1フェムト秒という世界最高の精度で同期制御することに成功している。さらに2つのレーザーの波長領域の中間に位置するイッテルビウムファイバレーザー(中心波長1040nm)とチタンサファイアレーザーとの間にジッター1.4フェムト秒の高精度なタイミング同期を実現している。 本年度は、長期安定的な同期動作を実現するために、イッテルビウムファイバレーザーの温度安定化を行った。ベースプレートの温度制御を行い、4時間で繰り返し周波数2Hz以内の揺らぎに抑えることができた。これにより、チタンサファイアレーザーとイッテルビウムファイバレーザーとの間で6時間の長期安定動作を実現することができ、繰り返し周波数揺らぎとして1mHz以内の安定な同期動作を実現した。
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