研究概要 |
本研究の最終目標は,放電加工機能を有する複数の昆虫型管内自走マイクロロボットを開発し,各ロボットに自らが走行する管路自体を自らが行う放電穴加工により形成させながら工作物内を自由に運動させることによって,高自由度・長距離・小径の曲がり穴を複数同時に創成することが可能なデスクトップかつポータブルな加工システムを構築することである.したがって,本研究の具体的な目的は,曲がり穴放電加工用昆虫型管内自走マイクロロボットの開発,および,それらのロボット群による高自由度・長距離・小径曲がり穴放電加工システムの確立となる.本年度は前者について研究を行った,具体的には,曲がり穴放電加工用昆虫型管内自走マイクロロボットは,自律的放電加工ユニット,管内自走ユニット,方向制御ユニットから構成されており,特に,このマイクロロボットの心臓部ともいえる自律的放電加工ユニットについての研究開発を行い,以下に示す成果を得た. (1)自律的放電加工ユニットの動作/加工特性評価システムの開発を目指し,当該ユニットを用いた放電加工中における加工電流と電極の動作を同時にかつ精密に測定できる装置を開発した. (2)開発した測定装置を用いて,自律的放電加工ユニットの加工電流と電極動作の関係を定量的に明らかにすることができた.すなわち,当該ユニットの動作特性の一端を解明した. (3)解明した動作特性をもとに,自律的放電加工ユニットの簡易的な数理モデルを構築した.これによって,実際に当該ユニットを製作し,動作特性の評価実験をせずとも,ある程度の精度で動作特性を事前に知ることができるようになった.すなわち,従来まで当該ユニットの設計は経験的な手法に頼っていたが,それを科学的な手法に置き換えることができた.
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