本研究の最終目標は,放電加工機能を有する複数の昆虫型管内自走マイクロロボットを開発し,各ロボットに自らが走行する管路自体を自らが行う放電穴加工により形成させながら工作物内を自由に運動させることによって,高自由度・長距離・小径の曲がり穴を複数同時に創成することが可能なデスクトップかつポータブルな加工システムを構築することである.したがって,本研究の具体的な目的は,曲がり穴放電加工用昆虫型管内自走マイクロロボットの開発,および,それらのロボット群による高自由度・長距離・小径曲がり穴放電加工システムの確立となる.本年度は昨年度に引き続いて前者について研究を行った.具体的には,曲がり穴放電加工用昆虫型管内自走マイクロロボットを構成する3つのユニット,すなわち,自律的放電加工ユニット,管内自走ユニット,方向制御ユニットのうち,特に,管内自走ユニットの研究開発,および,マイクロロボットの制御方法の確立を目指した研究開発を行い,以下に示す成果を得た. 1. 圧電素子をアクチュエータとして用いた突張機構と伸縮機構からなる管内自走ユニットを開発し,その動作特性をシミュレーションや実機を用いて詳しく調査するとともに,その動作の制御方法について研究した. 2. 放電加工時に発生し被加工物内を伝播する弾性波を計測することによって放電位置を特定し,これによって被加工物内におけるマイクロロボットの位置をモニタリングする手法について研究した.
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