研究概要 |
本年度は基板上に担持されたナノ粒子を触媒としたナノチューブ生成および,DMAにてサイズ選別されたナノ粒子を触媒とした気相流動中におけるナノチューブ生成を中心に行った.また,これらに加えて,ナノチューブの長さ選別を行う長尺型DMAの設計・製作を行った. 基板上に担持されたナノ粒子を触媒としたナノチューブ生成では,20nm程度にサイズ選別されたニッケルナノ粒子を酸化膜付シリコン基板に担持し,アセチレンもしくはエタノールを炭素源として生成を行った.ラマン分光および走査型電子顕微鏡で観察した結果,炭素源がアセチレンの場合は主に多層ナノチューブが,炭素源がエタノールの場合は主に単層ナノチューブが生成された. DMAにてサイズ選別されたナノ粒子を触媒とした気相流動中におけるナノチューブ生成では,炭素源をアセチレンとし,合成時に導入する水素流量がナノチューブ生成に及ぼす影響を中心に検討した.アセチレン流量を固定し,同時に導入される水素流量を0,50,100,200sccmと変化させてナノチューブ生成を行った.その結果,水素流量が0,50sccmではナノチューブが生成されず,100sccmではナノチューブが生成されたものの,生成効率は低かった.しかしながら,流量を200sccmとした場合には,高い効率で多層ナノチューブが生成されていることが,透過型電子顕微鏡観察から判明した.また触媒となるナノ粒子のサイズとナノチューブ直径を比較した結果,ほぼ同等であることも分かった.従来のDMAにてサイズ選別されたナノ粒子を触媒とした気相流動中におけるナノチューブ生成では,生成場の圧力は大気圧のみであったが,本研究により低圧下でもナノチューブを生成することを可能とした.
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