研究概要 |
近年のハードディスクドライブ等の情報機器の小型化かつ大容量化,MEMS技術による多機能センサの高精度化の要求を満たすためには,数十kHz程度の高周波数帯域に固有振動数を有する超小型機器の振動問題を実験的に解決することが必須である.しかし,数kHz程度の低/中周波数帯域を対象とした従来の振動実験解析法では対応できない.そこで,レーザーアブレーションを用いたインパルス加振に基づくMEMS等の超小型機器のための高周波数帯域における非接触振動実験解析法を提案する.高出力YAGレーザーを被照射部にナノ秒オーダーでパルス照射しレーザーアブレーションを瞬時に発生させることで,理想的なインパルス加振入力を作用させ高周波数帯域の非接触加振を実現する. 平成23年度は,出力計測を非接触化することで,加速度センサ等を取り付けることが困難な超小型機器の振動実験を検討し,以下の結論を得た. (1)制御系を内蔵する微小構造物に対する信頼性の高い振動特性評価を行うため,非接触レーザー加振/計測システムを構築し,マイクロスマートカンチレバーの振動特性評価を行った. (2)レーザー加振による高周波振動計測技術を用いた高感度ヘルスモニタリングシステムについて検討した. (3)パルスレーザー/レーザードップラー振動計を用いた非接触加振・振動計測技術により,システムの実稼動時振動計測を可能とする技術を開発した. (4)高出力Nd:YAGパルスレーザーによりレーザーブレイクダウンを発生させ,これにより生成された理想的な点音源を用いた音響加振システムを開発した. (5)レーザー被照射部に微小量の水滴を付着することで,レーザー加振における加振力の大きさをパッシブに制御する手法を検討した.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は,当初の計画通り,レーザー加振を用いた理想的な点音源による周波数応答関数計測の実現,非接触実験モード解析法の提案を検討する.また,本研究の応用発展課題として,レーザー加振技術に基づく水中構造物の非接触振動実験についても検討する.
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